悪い政策

国家規模の悪政(弱小国の襲撃、治安の妨害、戦争参加、経済制裁、恐喝行為など)を批判する人は多い。だが我々の身近な事柄と関係が深い地方行政が企んだ政策を批判する人は少ない。僕の出喰した悪政の例を次に紹介する。

(ドイツでの)例。

1.)故郷の村は40年ほど前住民の意に反し隣の町に合併させられ、その結果犬に対する税金は三倍になり、ごみ収集税や道路清掃税も上がった。さらに数年前、町政は、湖岸を工事し、散歩道と道路の拡張を決定した。湖岸の住民は当然反対した。道路が拡張されれば交通量が増え騒音公害にもなる。だが、道沿いの住人は無力で、騒音公害に耐えなければならないばかりでなく、道路の改造分担金を払わされた。負担は道路に面した土地を幅に応じて決まるが、一軒あたりの負担は約一万ユーロだったそうだ。
「持てる者は出費を覚悟しなければならない?」どうして?誰がそう決めた?持てる者?それとも持たざる者?− 税金の優遇処置が受けられるって?税務署が寛大ならば、私達の所有の一部を返してくれる。

2.)場所はへんぴな町はずれ。道幅も広く、歩行者専用道路もあるところ。道の片側は牧場で、その向こうには小さな幼稚園がある。私はその辺に子供を見た事はない。それは、私がここに来るのはいつも夏休みだからかもしれないが、ドイツでは学校が休みの時も、週末も、夜も、24時間幼稚園や学校の付近では30キロの速度制限が適用されている。この様な交通量が少なく広い道路では当然スピードを出したくなるので、警察はそれを悪用して、レーダー罠(レーダーを用いたスピード違反車取り締まり装置)をかける。それは辻強盗そのものだ!その近くの自動車修理工場の知人は「あのくそったれにもう何回もやられた。早く部品を調達しなければいけない時や、事故現場に呼ばれた時もあるんだ。警察は何を考えている?」と訴える。
速度制限は弾圧に他ならず、運転手の時間と金を奪う犯罪である。
こうした制限や警察の弾圧は人(運転手含む)を幼稚にする。子供がいて本当にスピードを落とさなければならないところでも、速度制限の標識がないところでは速度を落とさなくなると言う事だ。運転手の一番の関心事は「速度制限はあるかないか」で、ないならレーダー罠もないからスピードを出しても良いと言う事になる。
(私は、日本でもこうしたことを目撃した。真直ぐな道路ではずっと追越禁止だったが、よりにもよって見通しの悪いカーブの前で追越禁止が解除されたので、私の前を走っていた車はこの危険な場所でやっと遅いトラクターを追い越した。間一髪のところで事故を起こすところだった。追越禁止がなかったら、みんな真直ぐなところでその農業トラクターを何の危険もなく追い越したはずである。)
車の安全な速度を上(社会の支配者)から決めつけられるのはナンセンスである。適当な速度は、場合(交通量、天気、車の種類、ブレーキの状態、ドライバーの能力など)によって変動する。
ドライバーは速度制限に納得できないので、速度違反をする。速度制限は交通安全や良識とまったく関係がない。ただ行政が運転手から金を絞り取るための卑劣な手段にすぎない。
速度制限ではなく、推薦速度とか、近辺住民による「遊んでいる子供に注意、、スピードを落として下さい」などのようなお願いを取り入れるようにしてはどうか。
それにより第一に、レーダー罠や辻強盗がなくなるので運転者の不安が一つ減り、ドライバーの注意力の全てが交通に向けられる。道端にレーダー罠があるかどうかに気をとられる必要はなくなる。
第二に、命令に従うよりお願いに応じるのほうが精神衛生上良い。人間社会全体が優しく、フレンドリーになる。人(運転手含む)は大人になる。交通に限らず他の生活面でも責任感が強くなる。人間社会全体が進歩する。だが、事故統計がすぐに改善させるわけではないだろう。子供は相変わらず交通事故で死ぬ。
第三に、政治家とマスコミはこういう子供の死亡事故をこぞって取り上げ、恐ろしさを強調し、子供の死を「自由」のせいにする。人から自由を取り上げようとする。

3.)以前ドイツでは、少なくとも郊外の交通量の少ない道端では、自由に駐車できた。最近、「住民が仕事から帰って、駐車に困らない様に」と道端を住民の専用駐車場にした市町村が多い。住民は感謝すべきか?とんでもない!毎月駐車利用券を買わなければならなくなった!その上、昼間は空いている場所が多くあっても、住民以外の人には駐車禁止だ。だから訪ねてきた人等は必死に駐車場を探して走り回る。ドイツ政府が排気ガス公害防止に全力をあげていると主張するのは嘘そのものだ。
日本の行政のやり方はもっとひどい。どうして広い道路がバリケードによって狭くさせられているのでしょうか?を参照。

4.)数十年前は自動車優先の時代で、交通の多い道ではバスの停留所は走行車を妨げない様、道路から歩道側に入り込むような形に作られていた。だが今は反対に、車道に突き出す形の停留所が表われた。また、停留所がまだそういう新しい形になっていない場合は、バスは昔の専用停車スペースに入るのではなく、停留所の前か後ろに止まなければならない事になった。結果は勿論すごい渋滞、エネルギーの無駄と排気ガスの公害。なぜこのような常識を欠いた措置を講じたかと言うと、安全の為だそうだ。バスの陰から飛び出す人が事故に会わないようとのことである。飛び出しを禁止する方がずっと簡単だと思うけど。

5.)数十年前、車にとって古き良き時代であった頃、私の祖父は自分の土地と道の境の生け垣(北ドイツの典型的な畑や牧場の囲い)を取り壊さなければならなくなった。運転者にとって曲がり角の見通しが悪いからという理由で。生垣には畑の土や蒔いた種が風で飛んでしまうのを防ぐ役割があるのに、そんなことは交通当局にはどうでも良かったようだ。
二十年ぐらい前、自然保護時代に入った頃、私の父の所に町から新しい行政命令が入った。幹の円周が何センチ以上の木を許可なしに切り倒すことは、禁じられるという事。父も近所の人々も「それじゃあ、もう庭に木を植えるのは止めよう」との反応。これでは自然保護法も逆効果だ。
家の壁に害を与える木の伐採許可を求める隣人もいた。何年にもわたり何度も拒否された。公務員が鑑定の為わざわざ車でやって来た。オフィスからの往復16キロの道のりは、歩いた方が環境に優しかったのに。
ちょうどこの樹木伐採禁止令が発表された時、町立発電所が勝手に私達の林の土地の木を無断で何十本も切り倒してしまった。送電線の邪魔になるからという理由で。こういう場合今までなら、木の上の部分だけを切り取ったものだ。しかも今回土地の持ち主である我々には何の知らせもなかった。
一部が私や親戚の家の所有地となっているモーア(泥炭質の湿地帯)とその付近の森は今「大事な」自然保護区になっていて、土地の所有者の権利が厳しく制限されている。例えば、私の従妹(いとこ)は馬屋の入り口の前に砂利を敷いたが、警察から砂利を撤去させられた。馬達がぬかるみで足をとられ、骨折などしないといいが。。。
自然保護地は広いのに、馬屋の入り口の前の数平方メートルのことを問題にするのは馬鹿げている。この自然保護地に関してはhttp://www.hpo.net/users/hhhptdai/sommer2003jp.htmを参照。

6.)家を建てる時、人は常識と個人の自由に反する数々の規則と戦わなければならない。両親が新しく家を建てようとした時は、赤レンガの家でないと建築許可が下りなかった。200メートルもの牧場で隔てられた新しい家が全部赤レンガの家だったので、同様に両親の家も赤レンガで建てられなければならないとのことであった。すぐそばの古い隣家は白いモルタルだったが、古い建物だったため係員は建築許可の考慮の対象にしなかった。赤レンガは両親の好みではなかった上、モルタルより高かった。
母は、入口への階段を半円形にしたいと思ったが、三段以上の階段は真直ぐでないとだめな上、危険だという理由で両側に手摺りも必要だった。
ドイツの古い町や村の多くは絵のように綺麗であると、NHKがそうしたドイツの町の風景を褒めた事を見た事があるが、私は、建物を一様にする建築法を模範的とする事には大反対だ。どんな建築にするのかは建築主の勝手である。

7.)近所のある人は、雨水のしみ通る古い家の壁をレンガで守ろうと思った、建築許可を得ることができなかった。隣の家までの距離が5メートル以下になるという理由で(東京で信じられない)。ところで、その隣の家も彼のものだった。

(米国)

8.)2005年、2月9日、ABCニュースによると米国のバージニア州の議会は下着が見えるほどのロー・ウェストのパンツを履くことを禁じた(罰金は50ドル)。

常識や「個人の自由」に反する法律は何冊もあるので、この悪政のリストは永遠に続けられる。

新しいEU憲法法案の下では、個人や共同体(その地方に住んでいる人々)自身に関しての決定権は更に脆弱なものになる。

新しいEU憲法は、今まで我々が馴染んできた、様々な「人権」を具現する憲法と違って、主に市場経済を統制するものであり、グローバリスト(つまり世界的規模で儲ける億万長者)のためのものだ。EU憲法が発効すれば、公共施設は自由に取引され、公共施設の民営化が助長される 。でも、一般人は自由にはならない。直接、EUの担当者、EU議会議員、大臣や大統領を選ぶ権利さえないのだ。
美味しい湧水が出る村は、将来自分の飲み水のために世界市場における競争で大企業のミネラルウォーター会社と競り合わなければならないかもしれない。負ければ、村人は我々と同じく塩素入りのまずい水を飲まなければならない事になる。中央集権より地方分権!

次のテーマ、「個人と社会構成」http://www.hpo.net/users/hhhptdai/kojintoshakai1.htmを読んで下さい。

ハウプト・ホルガー

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