年金と少子化問題(ドイツの場合)

私は個人の自由を何よりも優先し、国家から強いられた老齢年金制度には反対である。だが、社会保障制度は、労働組合が長年の戦いで獲得したものでもある。ドイツでは老齢年金制度は19世紀から義務として実施されている。国家が保険を管理するため、政府の力が増大し、この権力国家的制度の下で、人々の貯蓄から一握りの政治家によって保険料が徴収され、その金から誰がどのぐらい貰うか彼らの意のままに決定される。人々は自分のお金が自由に使えなくなった。
被雇用者は、保険料の半分が雇用者によって負担されるというカラクリにまんまと一杯食わされていないだろうか。保険料の99%が雇用者によって支払われ、被雇用者が払うのが1%だとしたら、被雇用者はもっと幸せか。被雇用者が保険料の99%を支払わなければならなくて、雇用者の払う分が1%なら悲しい?それは錯覚だ。表面上の化粧に過ぎない。雇用者にとっては、雇用に関して生じる保険料は被雇用者の給料の一部だ。
自由主義者は以前から社会保障制度を批判している。個人の資本形成に基づいた年金に比べ、国家の年金制度で支払う保険料は高過ぎ、貰う年金は少ないというのが、その理由の一つである。
社会保障制度は社会全般の連帯の原則 (Solidaritätsprinzip)と連帯共同体(Solidargemeinschaft)の原理に基く仕組みだそうだ。つまり高給取りは貧困者の保険料の一部を支払った上で、再配分方式(Umlageverfahren)という賦課方式で一定期間内の支出が同期間内の収入により賄われなければならない。拠出された掛け金が直ちに保険金支払に充当され、余剰積み立て金は六日ももたないということである。
世代間契約選択の余地もなく、当事者のサインもない契約)の名に於いて「加入者」の支払う保険料は、その期間に必要な総額から割り出される。
政治家は、人生を悲観することが商売である。そうすることで人々は不安を抱き、政治家は人々を意のままにできる。つまり、人々を治めやすくその財産と自由を奪う事も楽である。政治家の悲観論によると、このまま寿命が延び、少子化が進むと俸給生活者一人当たり支えなければならない年金受給者数は30年間で倍になる(あまり遠くない未来ドイツ人は絶滅するという政治家さえいる)。そうなれば、支払う保険料は現在より劇的に上がり、貰う年金は生活保護までレベルダウンするということである。
要するに、国家の保険は本来の保険ではない。税金のようなものだ。真の保険なら、保険数学の基礎で計算されたもっと公正な取引でなければならない。(手短に保険数学の基本を紹介するページhttp://www.juen.ac.jp/math/ie/gendai.htmlを参照)
実際に寿命が延び、少子化が進むことが事実とすれば、それは素晴らしいニュースではないか。そうすれば、将来環境は人口過剰による汚染から回復する。そして我々がその中で長生きできるのだとしたら、楽観すべきことではないか。しかし、実際そうなるかどうかは疑問である。若い世代の健康状態は、ジャンクフード と運動不足、ドラック乱用のため、良好とはいえず長生きは期待できない。少子化に関しても、政治家、マスコミ、教会の統一戦線が効を奏し、歯止めがかかっている。つまり、感化されやすい、愚かな人々(高学歴者さえ)はすでに子供をもうけることに積極的になっている。

国家の年金保険のマイナス点民間の保険会社あるいは個人の資本形成に基づいた年金(私的年金)のプラス点を数え上げると。。。

国家の年金保険のマイナス点:

  1. 受け取り可能な年金は資本形成に基づいた年金より低い。
  2. 一度支払ったお金は「保険者」の所有物ではない。
  3. 「保険者」は支払ったお金と引き換えに受け取るものは、お金の処分権を有している政治家から遠い将来恩恵を賜るかもしれないという曖昧な約束でしかない。
  4. 政治家の約束は拘束力がない。何十年後、約束した定年年齢が上がったり、貰う年金が下がったりする。年金は政治や政治家のご都合主義の対象である。
  5. 「保険者」が死んでしまえば、払い込んだお金は、遺族がいくつかの必要な条件を満たさない限り、支払われる事はない。国家は、死者の遺族に償いをすることなくその金を手中に収める。
  6. この制度は高給取りには不利である。つまり、努力と成功に対してはペナルティーが科され、怠慢や失敗が報われるというものである。
  7. 再配分方式( いわゆる世代間契約)の下で、年金生活者に分配できるのは、同時期に「加入者」から徴収された金でしかない。高齢化と少子化が続ければ、この方式は遅かれ早かれ崩壊する。政府は現在この避けられない年金崩壊を、定年年齢の引き上げ、年金(給付金)の減少、保険料の引き上げ、掛け金査定限度(Beitragsbemessungsgrenze)の引き上げ等で、必死に先送りしようとしている。
    ドイツの健康保険も資金不足と言われている。それ故、人々特に年寄りは必要な治療が受けられない。そのため、毒舌家は(私もその一人だが)、それは国が年金受給者の過剰人口を減らし、年金制度の経済的破滅を回避する策略の一つであると主張する。

個人の資本形成に基づいた年金(私的年金)のプラス点:

  1. 年金は現在の国家年金方式より高い。
  2. 将来受け取る年金の為に給料から積み立てる分(保険料)は当事者自身が自由に決められる。
  3. 積立金や資本収益の所有権は当事者に帰する。
  4. 当事者が亡くなった場合、当事者が自分の意思で自由に決めた受取人がそのお金(年金原資)を受け取る。
  5. 投資信託などの一定の利息が生じるような投資の場合、当事者は途中でも自由により高い利益を生じるファンドに移転できる。
  6. 経済・財政危機の場合、民間の年金ファンドや投資信託等は国家の年金保険より安全。国家の保険はその国の財政それのみに依存するが、民間の年金ファンドも個人投資も国際的に投資すれば、リスクを分散することができる。
  7. 年金給付金は、年齢別人口構成に影響を受けることはない。
  8. 私的年金は政治家の諸々の策略とは無関係である。ドイツでは新たな政策により、子供のいない人の年金保険料が上がり、受け取る保険料が下がるという事態が起きている。新しい年金保険料を払う子供を生まない人々を罰する政策である。しかし、私的年金の場合、子孫の数は全く無関係であり、年金に影響はないので、子供を生むか生まないかの選択の自由・個人の自由を行使できる。

結論: 国家の保険は非実用的で、個人の自由を犯す、押し付けがましい権力的施策である。その上、今後国家の年金保険の再配分方式は世代間の対立をますます深める。いずれ崩壊する国家の保険は廃止するべきである。少なくても参加を義務付ける事は止めるべきである。
我々の政治支配層は国家の年金制度を牛耳る権力を手放したくないため、年金制度の方式を変えるのではなく、我々の家族形態を変えようとしている。つまり少子化に歯止めをかけようとしているのだ。

上の記述の情報源でもある、国家保険制度を批判するドイツ語のページhttp://www.mehr-freiheit.de/faq/rente.htmlでは、2002年で2200ユーロ(税込み)の平均月収を取得する人が45年間年金保険料を個人で貯金するとどうなるか細かく計算されている。そこでは、ドイツのエコノミストHans-Werner Sinnによる過去200における経済史上の世界市場推定利率約4%に基き年金原資を4%の複利で計算した。その結果驚くべき違いが明らかになった。それによると、国から貰う年金は1056ユーロ (税込み月収である2200ユーロの48%、手取り月収の70%、しかも2015年からは64%に下がる見通し)でしかないのに対し、保険料を45年間積み立て、複利計算する と年金原資は515,062ユーロになった。この年金原資が4%の利子を生じるとすると毎年20,602ユーロになり、一ヶ月当たり1717ユーロだ。年金原資の515,062ユーロは減少することはないので、本人の寿命が尽きた後は子孫もその利子でのんびりと隠居生活をすることができる。 
その4%の利子も実は低い。Standard & Poor's S&P 500-Index (http://en.wikipedia.org/wiki/S&P_500)は今までの40年間10.61%の平均収益をあげた。一度預金した10,000 米ドルはその40年間で564,584になったということである。 James P. O`Shaughnessy著書"What Works On Wall Street" によると、もし誰かが単純に過去40年間毎年最初の営業日に前年のベストパフォーマンス上位50社の株を買い、1年間を保持したとすれば、その人は11.13%の平均収益を生じたとの計算になる。一度出資した10,000 米ドルは40年間で681,200になったそうだ。
そう考えると、お金の為に
汗を流して働くのはバカらしく思える。

チリ共和国の例:上のドイツ語のページhttp://www.mehr-freiheit.de/faq/rente.html#k6によるとチリ共和国はピノチェト軍政下(!)で模範的な資本形成に基づいた年金制度を取り入れた。1981年5月以降、チリの被雇用者は将来自分の年金を、国民年金保険制度か、民間の老齢年金ファンド(国の国民年金同様ここでも雇用者は保険料の一部を払わなければならない)のどちらかを選択できるのだ。被雇用者の90%は民間の老齢年金ファンドを選んだそうである。このファンド平均利子は12%とのことである。

私が購読している小冊子「Ketzerbrief(異端者からのレター)No.133」にもドイツの年金と少子化問題について面白い記事がでている。この冊子の出版に関わっている人々は私と同様無神論者だが、私の大嫌いな共産主義的バックグラウンドの持ち主である。彼らの団体「順応に反対する連盟」の中には以外に医者が多い。この記事の作者であるKerstin Steinbach自身は産婦人科医である。
彼女は年金と人口問題に関し、「すでに満員で、さらに満員になる一方だ。もうすでに狭く、さらに狭くなる一方だ。すでに貧しく、さらに貧しくなる一方だ。」と述べ、「解決は?」と問う。連邦議会に議員を送っている政党はみな、子供を増やすことだと言う。ドイツの組織党もみな日本の組織党と同様競って、家族や出産や子供に対する助成について自論を戦わせる。
Steinbach医師は、上にホームページを紹介した”MehrーFreiheit”(モア・フリーダム)の自由主義者と同様年金保険料を個人で貯金するとどうなるかを知りたくその計算をした。だが、彼女は生涯の平均労働年数を公認の38年として計算する。(45年間は理想で、15歳から65歳まで50年間働いている人もいる一方、殆ど働かない人もいる。ドイツの定年年齢はすでに67歳に引き上げられた。)しかも、彼女は2%の確定利息を適用した。共産主義者は、せいぜいそれくらいの利息しか頭になかったのか。
彼女は共産主義者として、子孫に貯金を残さずに使い果たそうとする。ドイツの平均年金受給期間は19年で、彼女の計算によると受け取る年金の月額は1726ユーロだ。それに対し実際に国からの受け取る平均年金は2005年時点で993ユーロである。(2002年の1056ユーロからさらに減少している。)
しかも、平均年金受給期間がさらに5年長くなるであろうというドイツ政府の予想を計算に入れたとしても、すなわち平均年金受給期間を24年としても、彼女の計算上の貰える年金月額は1431ユーロだ。だが、ドイツ人の寿命が長くなる気配は少しもないし、病気等の理由で早期退職して年金を貰うのも難しくなる一方なので 、67歳まで働かなければならないとすると、平均年金受給期間は17年に縮まる。そうすると、彼女の計算では2030ユーロの年金が貰えるはずだ。
最近の数字によれば、3800万人の俸給生活者は2000万人の年金生活者と500万人の失業者と200万人の再教育講習などに参加する人(隠れた失業者)の収入を支えている。 失職者支援の年間費用総計は82,700,000,000ユーロで社会保障システムの大きな負担となっている。
国内に失業者がいる限り、新たな就業者は、子供であれ季節労働者や移民であれ全く必要がない。そのような新たな人口は新たな負担を強いるだけた。
もしドイツが過去に移民を受け入れなかったら、子供の数も限られ、現在失業者はいないはずだ。失業者対策に出費される82,700,000,000ユーロを年金生活者に回せば、一人当たりの年金月額は340ユーロ増となる。
1991年、ドイツの失業者は2,600,000人であった。1991年−2004年の誕生者数マイナス死亡者数はマイナス1,300,000人で、死亡者が誕生者を大幅に上回った。すなわち、外国(主にトルコ、アラブやアフリカ)から移って来た人がいなかったとすると、ドイツの人口はその期間実際には減少したという事だ。その結果、環境は回復し、失業者数は減り、社会保障システムの負担も軽減されたはずである。だが、ドイツ政府は、安い労働力導入のため、この有利な動向に意図的に歯止めをかけ、グリーンカード 外国人国内労働許可証)方式等により大勢の外国人に門戸を開放した。1991−2004年における公認記録の実質外国人人口増加(入国者数マイナス死亡者数・出国者数・国籍取得者数)は2,700,000人だそうだ。この増加人口は国の豊かさに結びつくものではなく、大きな負担である。治安の悪化を別にしても、この様な教育レベルの低い、財産を持たない人々は社会全体の、特に社会福祉システムの大きな負担に他ならない。
機械化やオートメーション化の発達により、労働人口は減少しても国内総生産の向上を維持できる。人口の増加は決して繁栄や裕福に繋がらない。その反対に貧しさへの道を開くのみだ。環境への悪影響はさておき...外国から出稼ぎ労働者をストップし、少子化を推し進めることこそ我々を輝かしい未来へと導く。
Steinbach医師は、国の継続的プロパガンダに反し、年金制度における爆発的な費用増加は存在しないことを示している。政府は絶対数字を使うことにより年金支出の爆発を強調するのは政治的プロパガンダである。同じ絶対数字でりんごの値段や一般の物価、国内総生産の爆発を「証明」できる。
注意!理解力のない人(大多数の人)は絶対数字で簡単に騙されている。反対に聡明な人はいつも相対数字に着目する!!!
ドイツの年金の場合、1976年以降30年間、年金支出は常に国内総生産の10%位(プラス・マイナス2%)に留まっていた。

考えることを止めた人々が政府に年金を騙しとられても、自業自得であるが、組織犯罪者ともいうべき政府を支持しない人々には、気の毒としか言い様がない。
2006年3月、ドイツ連邦政府は空っぽの国庫、巨大な財政赤字、崩壊に近い社会保障制度にも関わらず出産や子供に対する家族助成費に1,000億ユーロを支出したと自慢げに発表した。それに対し年金のための予算額は2,160億ユーロに過ぎない。
Steinbach医師は、その家族手当を年金生活者に割り当てれば、平均年金受給月額は416ユーロ増えると計算した。ところで、メルケル首相の首相としての初仕事の一つはEUへの献金を100億ユーロに増額したことだった。相当の大金だ。もしその額を、年金生活者に配るとすれば、彼らの年金は毎月41.60ユーロ増える。
ドイツ政府は、世界中で繰り広げられるアメリカの軍事行動を援助するための出費は惜しまない。

税金収入と社会保険の収入を区別する必要はない。どちらも国の収入である。政府は過去にも良心の呵責なしに年金収入の剰余金を他の目的に使った。
悪例:ドイツ統一で東ドイツにドイツマルクが導入された時、ドイツ財務省は4千億ドイツマルクを国庫から融通した。正確に言うと、その膨大な額を財務省は当時黒字であった社会保険の預金から横流しし、さらに国の借金も増えた。
しかも、この援助金は東ドイツ人のためにはならず、西側の大手銀行への「贈り物」となった。
ドイツ民主共和国(DDR)は、その名前にもかかわらず民主的でなかったことは広く知られている。だが、共産主義計画経済におけるクレジットは自由経済市場のクレジットとは違って政治的に管理された補助金だと言う事はあまり知られていない。東ドイツの国営企業は利益を出さないか、あるいは利益を出したとしてもそれは国庫に渡った。また、国営企業は財産や積立て金もない代わりに、借金を返さなくても構わなかった。共産主義政府はいつか自ら収支のバランスをつけた。
1990年の夏、西ドイツの管理下におかれた旧東ドイツの人民会議は東ドイツの銀行からのクレジット金利を0%から10%に引き上げた。関係者は皆、非能率的な旧東ドイツ企業が支払い義務を果たす事は不可能と知っていたため、(西)ドイツ経済研究所が警告したのも関わらず、西ドイツの連邦政府はこの企業の借金の保証に立った。
その後、西側の銀行は東ドイツの未回収金だらけの銀行をただ同然で買った。だが、その膨大な未回収金 (東ドイツ企業の借金)を保証したのは西ドイツの連邦政府であった。
具体例をあげると、当時、(西の)ベルリン銀行(Berliner Bank)はベルリン都会銀行(元のDDR国立銀行)を49,000,000ドイツマルクで買った、同時に11,500,000,000ドイツマルクの国家が保証した債権を手に入れた。それは購買価格の235倍であった。
組合銀行ウェスト(Genossenschaftsbank West)は組合銀行イースト(Genossenschaftsbank Ost)を120,000,000ドイツマルクで買った、同時に15,500,000,000ドイツマルクの国家が保証した債権を手に入れた。それは購買価格の129倍。
西ドイツ州立銀行手形交換所(Westdeutsche Landesbank Girozentrale)は(東)ドイツ海外貿易銀行(Deutsche Aussenhandelsbank)を430,000,000ドイツマルクで買った、同時に7,000,000,000ドイツマルクの国家が保証した債権を手に入れた。これも購買価格の16倍である等々...
一年間に債権から得た利子だけでも、購買価格を上回ったケースが多かった。
東ドイツの銀行の大安売り、東ドイツの企業の破産、税金収入と社会保険収入の悪用、そして西側の銀行の大儲けは統一ドイツ史上最悪の出来事だったのはないかと思う。
1991年4月1日、旧東ドイツ国営企業民営化の最高責任者で信託公社総裁であったローウェッダー(Rohwedder,Detlev http://de.wikipedia.org/wiki/Detlev_Karsten_Rohwedder)が暗殺された。ドイツ赤軍(RAF)による犯罪と見なされた。だが、ローウェッダー氏は旧東ドイツ国営企業の俸給生活者に対して社会的な責任を感じ、国営企業の売出しに反対したので、この完全犯罪の実行犯は西側企業の黒幕たちではないかという推測もある。
とにかく、ドイツの財政赤字が爆発的に膨らみ、年金の金庫は空になった。マスコミがこの政治的不祥事を伝えるようになったのは、大分時が経過してからであった。勿論、政界や金融界と深く繋がっているマスコミはこのようなスキャンダルを客観的に伝えることはしたくなかったのであるが、大勢の人が色んな噂や情報源から事件について知っていたので、マスコミはもはや口を閉ざし続けることは出来なかった。黙り続けることは信頼を失うことだ。マスコミにとって人々の信頼より大切なものはない。信頼を失ってしまえば、国民をだまし続けることもできないのである。
マスコミがこのスキャンダルをもみ消す方法として使ったもののひとつは、当時統一ドイツの情勢は政治家には荷が重過ぎるということだった。テレビもそう伝えた。ノンポリの私の母でさえ、ドイツ統一時に馬鹿な政治家達が年金用の資金を浪費してしまったため貰う年金が少なくなったといつもぐちをこぼしている。
ドイツの連邦憲法裁判所でさえ旧東ドイツの借金を巡るスキャンダルに対し、判決を下さなければならなかった。マスコミが先に言いたてたとおり、裁判所の判決は、歴史上まれに見る政治情勢のため、誰も将来を見通すこのはできず、政府が誤った決断をしたのも仕方がないというものだった。
一般の国民というものは馬鹿である。だが、支配者層(政治家、裁判長、大金持ち)は、馬鹿というより、良心のかけらもない、人を食いものにするやからなのだ。
2004年10月3日、当時財務省の事務次官で銀行の不正に深く関わっていたケーラー現連邦大統領は、あの時、我々には時間がなく、将来を見通すことが出来なかったと国民に説明した。
そのケーラー大統領は現在国家の年金制度維持のため出生率をあげることに躍起となっている。当時将来を見通すことができなかった近視眼の人が急に先見の明を持つことができるのだろうか。
私には支配者層の目論見が読める。子供が増えるということは失業者も増えることである。人は失業を恐れるあまり低い給料で長時間働くことを余儀なくされる。一般社会の貧困が進めば、
上流社会の人々は相対的に強く裕福になる。
旧東ドイツのクレジットを巡るスキャンダルには他の一流政治家をも巻き込んだことを示す記事:
01.07.2005 Tagesspiegel:"Schulden ohne Suehne, 15 Jahre Wahrungsunion: Wie sich westdeutsche Banken auf unsere Kosten an fiktiven DDR-Krediten bereicherten" Von Lorenz Maroldt http://archiv.tagesspiegel.de/archiv/01.07.2005/1909569.asp ドイツ語、有料サイト) 

2006年3月23日のドイツの人気週刊誌STERNは、「子供が減り、年金も減る(Weniger Kinder,weniger Rente!)」との見出しで、国民に子供を産むように呼びかけた。編集長オスターコルンはその記事の中で、(子供をもたない)人は、他人の子供に年金の支払いを要求することはできないとさえ主張した。
支配者層に属するこの編集長は大衆の読者を馬鹿にしているとしか思えない。
昔の人は
年をとって働けなくなれば、自分の子供に保護を受けるしか方法はなかったが、今の年金制度の再配分方式にはそういう意味はないはずだ。
その
編集長は、国家が人々にどんな厚かましい要求をしているのか知っているはずだ。国家は、国民が自分達の抑圧や迫害に対する費用や外国の侵略戦争の費用を支払うことまで要求しているのだ。
もう一言言わせてもらえば、環境問題に関してもSTERN誌は他のマスコミと同様そうした問題と真剣に取り組んでいる振りをする。マスコミの環境問題との取り組みはいつも表面的で、日本のテレビに例えればNHKの「クローズアップ現代」によく取り上げられる「電気製品のスタンバイ電流の節約」のような大して意味のないことに限られている。スタンバイ電流の節約は風力発電で得られるわずかな電力と同様、常にある過剰電気の許容範囲内でしかないので有効とは言えない。(http://www.hpo.net/users/hhhptdai/fuuryoku.htmを参照)
着せ替え人形の様に毎回異なった服装で表われるニュースキャスターの女性による主張には説得力がない。流行や広告に惑わされず、必要のないものは買わない、すなわち過剰な消費をしないことが環境保護のためには一番重要なことだ。無買デーのキャンペーンのウェブページ:http://www.bndjapan.org/japanese2/index.htmlを参照。私にとっては毎日が無買日だ。余計なモノは殆ど買わない。スタンバイ電流の節約をしなくても良心の呵責を感じる事はない。

年金制度へ戻ろう。日本の年金制度もむちゃくちゃである。失業者はドイツほど多くはないが、フリーターなど低賃金で働く人が増えたので、人口を増やせばドイツと同様社会の貧困が進む。そのほか日本独特の年金問題について長妻昭 赤池キョウコ のマンガ「年金浪費/福祉という名のブラックホールを塞げ!」を参照。
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【目次】
年金問題に詳しい人、ナガツマくん/年金のコト、どれだけ知ってる?/なにソレ?格安家賃の年金ゴーカ官舎/誰のための福祉施設?「グリーンピア」/役人天国!社会保険庁の甘ーい生活/ゴルフボールも年金保険料!?/これも「事務費」!?高級マッサージ器/20代で運転手付き黒塗り公用車!/交際費や健康診断費も保険料から/コンピューターより計算高い!?/年金保険料が回りまわって社保庁職員のポケットに/保険料で観劇。野球観戦も!/官僚追及は“テロ”?国民皆が声を上げよう

2006年9月

ハウプト・ホルガー

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